投資資金はいくら必要?何年かかる?(その1)

 ここでは、利回りの重要性についてで検討したエクセルによるシミュレーション方法を応用して、年間の投入資金の検討方法を紹介します。本検討では、資産自体の変動が無い(株価は簿価のまま)ものとします。

実は、この検討をした後には以下の事実が実感できます。

資産を増やすには資産が必要。

禅問答のようですが、これは株式による資産形成を図るためには重要なことです。

1.準備

 まず、投入金額株式投資による資産形成の目標を確認します。当ブログではコンセプトで書きました、

利回り3.5%、6200万円の株式で、220万円の配当収入を得ること。

(なぜ利回り3.5%なのか、実際、資産形成をするのに最適な利回りはいくらなのか?という問いは非常に重要なのですが、今回は触れません。)

 目指す資産額と年間の配当金額が決定していますので、実際に検討を進めます。

2. エクセルによる計算 例1

 まず、適当に初年度の投入金額(頭金ですね)と2年目以降の投入金額を大雑把に決めます。ここでは、試しに頭金200万円、2年目以降の投入金額を100万円としてみます。エクセルを開き、下記画像のように入力していきます。

  • 目標金額、税引き後利回り、年間投入額を入力
  • 年数、投入金額ごとの増加を示す列(a0,a1…)を入力し表を作る。一番右の列は各年ごとの合計額が入力されるようにsum関数を使用する。
  • a0列の各セルに(金額)×(1+利回り)となるように数式を入力(=B8*(1+$c$3))する。下のセルへオートフィルでコピー。

(ここまで図1 )

図1 エクセルによるシミュレーション準備
  • 年間投入金額を、左下三角形の輪郭を構成するように各セルへ入力。

(ここまで図2)

図2 エクセルによるシミュレーション準備
  • a0列の各セルを、左下三角形を埋めるようにコピーする。
  • 目標金額と、表の右下の資産合計(オレンジセル)を比較する。

(ここまで図3)

図3 エクセルによるシミュレーション準備

図3まで完成したところで目標金額と資産合計Sを比べてみましょう。今回の条件(初期投資額200万円、年間投資額100万円、利回り3.5%)では、目標6200万円を5年で達成するのは難しそうです。

そこで、いくらの時間をかければ良いか確認したいのですが、それをするには、左下三角形を拡大してやるとシミュレーション可能です。結果は、33年になります。これは、大学卒業後に22歳から積み立てたとして、55歳になるときに達成できるという結果です。

3.エクセルによる計算 例2 

 逆に、6200万円という金額を10年で達成するには、利回り3.5%では年間にいくらの投入金額が必要か考えてみます。今回は年数を固定しますので、投入金額をいじって、10年目の資産合計Sが6200万円を超える金額を探します。初期投資額は200万円とします。

さて、一体いくら必要でしょうか?結果は以下にになります。

図4 エクセルによるシミュレーション例。

なんと、1年間に580万円を投入しなければなりません。

 よく、比較的若い人々が株式投資を通じて数年間でアーリーリタイアしました、潤沢な資産を形成できましたなど、メディアで紹介されています。そうした方々のプロフィールを拝見すると、大抵は東大、一橋、京大、慶大などのハイレベル大学を卒業し、マスコミや投資銀行や商社などの超高収入を得られるお仕事をされていることがわかります。

 彼らが多額の資産を形成できるのは、そもそも高収入だからの一言につきます。元も子もありませんが、お金を増やすためにはお金が必要ということです。さて、年間580万円も投入できる方々が世の中にどれだけいるでしょうか。

自動車(普通の収入)とジェット機(超高収入)ではスピード勝負になりません。

(ちなみにharikichiは、前者にカテゴライズされます。)

 投資をする上で大切なのは、株式取引そのものだけでなく、投入金額を極大化することも必要になります。

ここで本記事の冒頭の言葉を再掲します。

資産を増やすには資産が必要。

この意味がお分かりいただけたでしょうか。

4. 実際にどうすればいいのか(2020/7/20追記)

 ざっくりと目標を達成するための投資資金と年数の見積もり方法について見ていきました。実際に投資を行うに当たっては、まず自分の余裕資金を算出してから、投資計画を策定することをお勧めします。収入をいきなり増やすのは難しいので、自分の投資できる資金の範囲内で考え、年次計画と長期計画を練ります。

これについては次の記事で説明します。