世界のバブル動向(12月)

 こんにちは、はりきちです。12月もバブルの動向を追っているFinancial Crisis Observatory(FCOについてはこちらの記事をどうぞ)のGlobal Bubble Status Reportのアップデートがありました。概要を書いていきます。

FCOは毎月450もの債券、インデックス、コモディティや850の
個別株について調査されており、各資産の中から、バブルの傾向が
あるものについてレポートしてまとめられています。

1.FCOのアナウンス

 今月、レポート中に新しい試みについて重要な記載がありました。

  1. 個別株は現在ヨーロッパと米国について報告があるのみであるが、今後調査対象の地域を広げる
  2. バブルプロットを月ごとでなく、日ごとに更新する。
  3. LPPS modelのタイムスケールを拡張する
    • Super short scale:40日〜半年
    • Short scale:半年〜1年
    • Medium scale:1年〜2年
    • Large scale:2年〜4年

 これは嬉しい報告ですね。はりきちは今後、中国株にも手を広げようと考えていたので、調査対象の地域が広がるのはありがたいです(ただ、レポート中には”It is believed that the Chinese monetary polity will be tightened in order to avoid overheating next year. Accordingly, we think the Chinese stock market will see no further increase.”との記述があり、中国は金融の引き締めを図るとされています。短期的には株価は振るわないでしょう。)

 バブル動向はこれまで月ごとにしか更新されていなかったので、毎日更新されるのであれば、高い銘柄をさけ、銘柄買い付けのタイミングを合わせやすくなります。

 タイムスケールの拡張は、バブルの形成過程を長期の視点から観察し明らかにする試みです。長期の投資を考えた時に傾向がわかれば、どの資産に投資するか選択する際の良い材料になります。

2.各種資産クラスの動向

 12月初めの状況としては、債券、コモディティ、為替、インデックスそして個別株すべてがポジティブバブルの成分の割合が高くなっており、依然として資金流入が続いていることが観察されているようです。個人的にはこのような状況は思い切った資金投入に躊躇してしまいますね。

図1 各資産クラスのバブル率。1st December 2020: FCO Global Bubble Status Report p.5より引用。
図2 各資産クラスのバブル状況。 1st December 2020: FCO Global Bubble Status Report p.6より引用。ネガティブバブルの成分はほぼない。

3.個別株の状況

 Contrarian Short Stock Portfolio (CSSP):弱いファンダメンタル、逆張りのショート投資家の好む株が多く挙げられていました。有名どころではH&Mやコストコ、スターバックス、ウォルマートがありますね。

 

図3 Contrarian Short Stock Portfolio (CSSP):ポジティブバブルの傾向がある弱いファンダメンタルの株。逆張りかつショート投資家が好む。1st December 2020: FCO Global Bubble Status Report p.47より引用。

4.まとめ

 今月ははりきち好みのContrarian Long Stock Portfolio (CLSP):ネガティブバブルの傾向がある強いファンダメンタルの株が報告されてなかったですね。先月はAT&Tがありましたが、株価が戻りつつあります。買い付けが難しい局面です。