配当で最低限度の生活維持を目指すためのポートフォリオ2021年9月(外国株・日本株):岸田総理の所信表明演説

 こんにちわ。はりきちです。9月は本業も立て込んでいて、なかなか株のことを気にすることもできないほど忙しい日々でした。一方で日本としては菅氏の任期満了に伴う退任、緊急事態宣言の解除、岸田総理へのバトンタッチと節目となる月でした。今回は、岸田総理の所信表明演説の中身を見て、今後の政策の方向性を確認してみます。

図1 岸田文雄の政策(岸田氏公式WEBより) https://kishida.gr.jp/wp-content/uploads/2021/09/20210913-記者発表(外交)パネル.pdf

岸田総理が演説で明らかにした3つの政策は以下になります。それぞれの政策と関連キーワード・キーフレーズを抜き出してみます。個人的に注目しているものは、赤字にしています。

  • 第一の政策 新型コロナ対応 危機管理の抜本的強化
    • 病床、医療人材の確保、在宅療養者への支援、ワクチン摂取(希望者への二回摂取、三回目の摂取)、経口治療薬の年内実用化、電子的ワクチン摂取証明の積極的活用、予約不要の無料検査の拡大、司令塔機能の強化、人流抑制、医療資源確保のための法改正国産ワクチンや国産治療薬の開発
  • 第二の政策 新しい資本主義の実現 デフレからの脱却
    • 大胆な金融政策、機動的な財政政策(危機に対する必要な財政支出は躊躇なく実施)、成長戦略の推進、財政健全化、成長と分配の好循環、コロナ後の新しい社会の開拓、 新しい資本主義実現会議成長戦略と分配戦略、科学技術立国の実現
    • 成長戦略 第一の柱:科学技術立国の実現、学部や修士・博士課程の再編、拡充、科学技術分野の人材育成を促進、世界最高水準の研究大学を形成、十兆円規模の大学ファンド、デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙など先端科学技術の研究開発に大胆な投資、イノベーションの担い手であるスタートアップの徹底支援、新たなビジネス、産業の創出、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現、クリーンエネルギー戦略
    • 成長戦略 第二の柱:デジタル田園都市国家構想、5Gや半導体、データセンターなど、デジタルインフラの整備
    • 成長戦略 第三の柱:経済安全保障、戦略物資の確保、技術流出の防止、自律的な経済構造、強靱なサプライチェーンを構築、経済安全保障を推進するための法案
    • 成長戦略 第四の柱:人生百年時代の不安解消、セーフティーネット、働き方に中立的な社会保障や税制、「勤労者皆保険」の実現、全世代型社会保障の構築
    • 分配戦略 第一の柱:働く人への分配機能の強化、非財務情報開示の充実、四半期開示の見直し、下請け取引に対する監督体制を強化、大企業と中小企業の共存共栄、労働分配率向上に向けて賃上げを行う企業への税制支援を抜本強化
    • 分配戦略 第二の柱:中間層の拡大、少子化対策、国による分配機能を強化、大学卒業後の所得に応じて「出世払い」を行う仕組み、教育費や住居費への支援を強化、保育の受け皿整備、幼保小連携の強化、学童保育制度の拡充や利用環境の整備、子育て支援を促進、こども目線での行政の在り方を検討
    • 分配戦略 第三の柱:看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入、公的価格評価検討委員会を設置
    • 分配戦略 第四の柱:公的分配を担う、財政の単年度主義の弊害是正科学技術の振興、経済安全保障重要インフラの整備
    • 他:地方活性化に向けた基盤づくりにも積極的に投資、東日本大震災からの復興なくして日本の再生なし、被災者支援、産業・生業(なりわい)の再建、福島の復興・再生、農林水産業の高付加価値化、輸出力強化、家族農業や中山間地農業の持つ多面的な機能を維持、新型コロナによる米価の大幅な下落、当面の需給の安定に向けた支援、老朽化対策、防災・減災、国土強靱化の強化、交通、物流インフラの整備を推進、二〇二五年大阪・関西万博、IoTや人工知能などのデジタル技術を活用、観光立国復活に向けた観光業支援、文化立国に向けた地域の文化、芸術への支援強化
  • 第三の政策 国民を守り抜く、外交・安全保障
    • 世界から得た「信頼」を基礎、三つの強い「覚悟」
    • 第一の覚悟:自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜く覚悟、米国、豪州、インド、ASEAN、欧州などの同盟国・同志国と連携、「自由で開かれたインド太平洋」、深刻化する国際社会の人権問題
    • 第二の覚悟:我が国の平和と安定を守り抜く覚悟、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定、海上保安能力、ミサイル防衛能力など防衛力の強化、経済安全保障、日米同盟、インド太平洋地域、沖縄の基地負担の軽減、普天間飛行場の一日も早い全面返還、辺野古沖への移設工事、日朝平壌宣言、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決、日朝国交正常化の実現
    • 第三の覚悟:地球規模の課題に向き合い、人類に貢献し、国際社会を主導する覚悟、核軍縮・不拡散、気候変動などの課題解決、「核兵器のない世界、賢人会議、自由貿易、DFFT、中国:安定的な関係、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める、対話、共通の諸課題について協力、ロシア:領土問題の解決、平和条約の締結、首脳間の信頼関係、平和条約締結を含む日露関係全体の発展、韓国:重要な隣国、健全な関係に戻す、我が国の一貫した立場、適切な対応を強く求める

 ざっと読んだ限りでは、投資家のみなさんにとっては不快な政策が多いなぁと思いました。労働者、子育て世帯にとっては賛成しやすい方向性となっています。ただ、金融所得税については全く触れられていません。ここがはりきちとしては引っかかっています。所信表明演説ではこのワードが入っていません。同氏にとっては政策として最初から優先するつもりはなかった、ただ、マスコミ各社はなぜか金融所得税に関しては強調して報道していました。

 それより、今回、面白いと思ったのは「経済安全保障」というワードが3回も出てきていることです。コロナ禍の影響であらゆるモノの動きが停滞し、世界中で行動制限が置かれている状況は、戦時中と似たような状況と考えられます。戦略物資を自国で確保し、経済を維持しようとする動きは、米国の半導体業界の工場建設ラッシュも見られるように広がっており、国家戦略としては重要課題です。外務大臣・防衛大臣経験の経験を持つ岸田氏の特徴が出ていますね。今後の動きに注目です。

9月の取引状況

 9月は機械的な買い付けと銘柄整理を実施しました。一部日本株で優待銘柄を端株で仕入れています。BPはより財務体質として強靭な銘柄に変えることを検討しています。PPLは最近の業績としてあまり芳しくないため、他の株に変えます。一旦は売却した資金をプールしておきます。

[買い付け銘柄]
  • アリババ, BABA (Retail/Wholesale):2枚
  • ブリティッシュアメリカンタバコ, BTI (Consumer Staples):12枚
  • AT&T, T (Computer and Technology):5枚
[売却銘柄]
  • ブリティッシュペトロリアム, BP (Oil/Energy):10枚、すべて売却
  • PPLコーポレーション, PPL (Utilities):32枚、すべて売却

外国株式・日本株式ポートフォリオ(資産割合)

 保有株式の中で下落傾向にあった中国企業の株価は一旦落ち着いています。エバーグランデの破綻懸念が拭えない状況ではありますが、ここはホールド継続、もし破綻が確定した場合には混乱があるでしょうから、そこを狙います。PPLの売却によってUtilitiesの割合は減少しています。

図2 各セクターの外国株式ポートフォリオに占める割合。セクターはmacrotrendsの分類を採用。
図3 各銘柄の外国株式ポートフォリオに占める割合。%値の大きいものから時計回りに配置。
図4 国内株式ポートフォリオに占める各セクターの割合。分類名はREITを除きTOPIX17に従う。
図5  ポートフォリオ(国内株式)の資産に占める各銘柄の割合。

外国株式・日本株式ポートフォリオ(配当割合)

 PPLの売却とBTIの買い付け継続により、Cosumer Staplesの割合が高まっています。BTIは年間配当293ドルとポートフォリオ中で最も高い割合、稼ぎ頭になっています。株価としては35ドル前後と低迷しているのですが、引き続き買い続けていきます。

図6  年間の受け取り配当の各セクターのシェア(外国株式)。
図7 年間の受け取り配当の各銘柄のシェア(外国株式)。
図8 国内株式ポートフォリオの配当に占める各セクターの割合。
図9 国内株式ポートフォリオの配当に占める各銘柄の割合。

まとめ

 国内、世界情勢は引き続き不透明、不安定な状態が続きます。投資家にとって居心地の良い期間は終わりを迎えるのかもしれません。しかし、その時こそが買い場の到来と考えています。ハワード・マークスやテンプルトン卿、チャーリー・マンガーの書籍を読むと、どれも相場の低迷時こそチャンスであると書かれています。市場の心理、時期の見極めをしっかりします。

  • 残高:657.5万円(ドル円111.87、人民元円17.41で換算)今年分の目標達成、今月以降は配当・分配金、PPL・BP売却資金のみ投資する
  • 予定年間受け取り配当:22.3万円(税引き後、ただし国内課税分のみ計算)
  • 配当利回り:3.39%(税引き後、ただし国内課税分のみ計算)
図10 年間資産推移。
表1 保有銘柄一覧(外国株式)
表2 保有株式(国内銘柄)
表3 保有株式(中国上海A株式)