世界のバブル動向(2021年7月):中央銀行の紙幣印刷ゲーム

 こんにちわ。はりきちです。蒸し暑い日々が続きます。ここ1週間はずっと雨で気落ちすることが多くなっていますが、なんとか戻していきたいところですね。今月もFinancial Crisis Observatory のGlobal Bubble Status Reportをチェックします。7月分のレポートでは、欧州中央銀行と米国の準備制度理事会資産推移について言及されていました。グラフを見ると2008年から2021年現在に至るまで、その残高は膨れ上がっていることがわかります。欧州中央銀行は2008年1.5兆ユーロから2021年7.9兆ユーロ、準備制度理事会は2008年0.9兆ドルから2021年8.0兆ドルです。まあ、健全な状態とは言い難いですね。

図1 中央銀行の資産残高と株式および債券市場

 また、クレディスイスのグローバルウェルスレポートによれば、昨年にはグローバル家計資産が28.7兆ドル追加されたとの報告があります。地域別では以下の通り。

  • 12.4兆ドル 北米
  • 9.2兆ドル 欧州
  • 4.2兆ドル 中国

なんとも景気のいい話です。富裕層は中央銀行から供給された流動性を追い風に、金融資産・住宅・暗号資産を買い漁っているようで、価格は鰻登りです。特に住宅価格の上昇は目を見張るものがあります。住宅需要が旺盛であるため、日本では木材が手に入りにくいのです。朝日新聞の記事でもこう書かれています。

大和ハウス工業も6月、一部の木造住宅価格(土地代を除く)を従来よりも1%値上げした。対象は年間戸建て棟数の5%の約350棟。同社の平均の住宅価格は約4千万円で、数十万円の値上げになるケースが多いとみられる。

朝日新聞デジタル 「ウッドショック」で木造住宅値上げ 購入に影響も 箱谷真司2021年7月7日 16時00分

各種資産クラスの動向

  6月分のデータを見てみましょう。

図2 各資産クラスのバブル成分表 The FCO Cockpit Global Bubble Status Report July 2021より引用
  • 個別株 16→12 下降
    • 欧州 13→13 変わらず
    • 米国 20→12 下降
  • インデックス 26→19
    • 欧州 18→19 上昇
    • 米国 31→19 下降
    • グローバル 25→19 下降

おや、全体的に下がってきましたね。この時のデータではバブル縮小のようですから、7月に調整が入るかと予想できます。実際、今週は調整入りましたね。これまでのFCOのデータからバブル成分の推移をグラフ化してみました(図3)。いずれの成分も下がりつつあり、反転しつつあることが示唆されます。

図3 バブル成分の時系列。FCOのデータよりはりきち作成

セクター別の動向

 前節の状況から、警戒をしておいた方が良さそうですね。年次リターンも依然として高い状況でありますが、よく見ると6月から7月にかけて%としては下がっているように見えます。また、相変わらず突発的にバブル発生しているセクターもあります。Cosumer Durables & Apparel、Media & Entertainmentなんかがすごいですね。

図4 各セクターのバブル動向 The FCO Cockpit Global Bubble Status Report July 2021より引用

個別株の動向

 今月も右半分の象限に位置する銘柄が多く、バブルスコア高めです。なかなか買い付けに動きにくい状況が続いています。

図5 個別銘柄のバブル動向、縦軸から右側がバブルスコアが高くバブルの可能性のある銘柄群。The FCO Cockpit Global Bubble Status Report July 2021より引用
図6 個別銘柄のバブル動向、順張りのロング投資家の好む株。The FCO Cockpit Global Bubble Status Report July 2021より引用

まとめ

 7月8日にかけて株価は若干の調整がありましたが、値動きとしては数%と取るに足らないレベルです。少し先に大きく下落する瞬間が来るでしょう。いつになるかはわかりませんが、祈りましょう。