世界のバブル動向(2021年5月):Sell in May!・インドの悪夢・グロースの変調

 みなさんこんにちわ。はりきちです。5月も半分過ぎ、エアコンをつけても良いくらい暑くなってきました。 COVID-19はワクチン摂取が進んでいるものの、日本では緊急事態宣言が各地で発出、マスメディアでも関連ニュース騒がれている状況が続いています。今月もFinantial Crisis Oveservatory のレポートを見ていきます。

大幅なインフレ

 まずレポートのMarket outlook では、インフレの可能性について言及がありました。

 著名投資家のウォーレン・バフェット氏は”We are seeing substantial inflation.”と年次株主総会で発言しました。これは原材料費、輸送費、人件費全てに起こっており、これがバークシャーの住宅事業と家具事業に直接的に影響、他の事業にも間接的なインパクトがあるとの報告です。費用負担は製品価格の高騰につながり、それは米国でのインフレの開始を意味することになります。

FCO_May2021 The FCO Cockpit Global Bubble Status Report May 2021 を意訳

これが本当なら、インフレヘッジになるとされる株式の価格は上昇を続ける可能性があります。インフレとは物価が上昇することですから、貨幣は相対的に価値を下げていきます。実際、米国のインフレ率は1年間で約4%ポイント上昇しています。

 また、米国財務長官のイエレン氏は現在の状況についてこう発言をしています。景気の過熱感からテクノロジーセクターでバリュエーションの変更が余儀なくされる、つまりは株価の調整です。実際に5月半ばにはテクノロジーセクターの下落がありました。

FCO_May2021

“rates may have to rise somewhat to keep economy from overheating”, which will might lead to a potential significant revaluation of the technology sector in Stock market.

https://www.cnbc.com/2021/05/04/treasury-secretary-yellen-says-rates-may-have-to-rise-somewhat-to-keep- economy-from-overheating.html
図1 米国の2020年4月から2021年4月までのインフレ率 https://ycharts.com/indicators/us_inflation_rate

インドの悪夢

 さらにレポートではインドのコロナの第2波について触れられていました。感染状況としては昨年の第1波により深刻、変異種のB.1.617がさらに 感染力の強いE484Q とL452Rに突然変異を起こし、感染を拡大させています。ただ、5月14日現在ではピークアウトしているようで、減少に転じています。このまま収まればいいのですが。

図2 インドの感染者数推移:JHUCSSE COVID-19 Data、Google Searchより抜粋

各種資産クラスの動向

  4月26日でのデータでは、どの指標を見ても、いずれもバブルの状況を示していました。その後5月にどうなったかは皆さんのご承知の通りです。

図3 各資産クラスのバブル成分表 The FCO Cockpit Global Bubble Status Report May 2021より引用
  1. 個別株 13 -> 16 上昇
    • 欧州 11 -> 14 上昇
    • 米国 16 -> 19 上昇
  2. インデックス 22 -> 28 上昇
    • 欧州 9 -> 21 上昇
    • 米国 28 -> 35 上昇
  3. グローバル 21 -> 26  上昇

セクター別の動向

 4月に引き続き、Media&Entertainment、Insurance、Real Estateがバブル気味、Consumer Services、Transportation、Food Beverage& Tobaccoが新たにバブル出現となっているようです。注目すべきは、Yearly Returnの列で、ほぼすべてのセクターで2桁以上となっています。過熱していることが伺えます。

図4 各セクターのバブル動向 The FCO Cockpit Global Bubble Status Report May 2021より引用

個別株の動向

 左側のアンチバブルの銘柄はわずかしかありません。ここでも市場が過熱気味であることが示唆されます。幅広く右側の象限に位置する銘柄が多く、バブルの様相です。例えば以下の銘柄があります(セクター分類はFCOの分類)。

  • シーゲート, STX: Technology, Hardware & Equipment
  • シスコ・システムズ, CSCO: Technology, Hardware & Equipment
  • アプライドマテリアルズ, AMAT: Semiconductors & Semiconductor Equipment
  • インターナショナルペーパー, IP: Materials
  • ASML, Semiconductors & Semiconductor Equipment
  • アルファベット, GOOG: Media & Entertainment
  • ボーイング, BA: Capital goods
  • などなど
図5 個別銘柄のバブル動向、縦軸から右側がバブルスコアが高くバブルの可能性のある銘柄群。The FCO Cockpit Global Bubble Status Report May 2021より引用
図6 個別銘柄のバブル動向、順張りのロング投資家の好む株。The FCO Cockpit Global Bubble Status Report May 2021より引用
図7 個別銘柄のバブル動向、順張りのロング投資家の好む株。The FCO Cockpit Global Bubble Status Report May 2021より引用
図8 個別銘柄のバブル動向、順張りのロング投資家の好む株。The FCO Cockpit Global Bubble Status Report May 2021より引用

まとめ

 先月には全体的にバブルの様相であったことがFCOにより報告されていましたが、5月半ばで調整することとなりました。はりきちとしては先月の取引報告でも書いたように、値上がり気味の銘柄購入は一貫して避けていましたので、高音つかみを避けることができました。

 $BABAと$INTCをこの機に乗じて買い進めましたが、さらに価格が下がりそうです。来月のレポートも参照しながら買い付け検討をします。