世界のバブル動向(2021年6月):集団免疫、仮想通貨はIdiotか

 みなさん、今晩わ。はりきちです。今月もはりきちの敬愛するソネット氏在籍のFinancial Crisis Observatory のGlobal Bubble Status Reportを読み解いていきます。

レポートで気になった点、2つの重要なリスクがあるようです。

  • 供給の制約
  • より高い税率

これは金融政策に絡むものです。特に米国FRBの動向はよく見ておく必要がありますね。

ワクチンについて

 みなさんはこの世で一番ワクチン摂取が進んでいる国を知っていますか?5月29日時点のデータではワクチンの摂取率のナンバーワンはイスラエルであり、その率は59.3%に届く値です。次にバーレーン45%、チリ41.5%と続きます。アメリカは40%で4位。ニュース報道を見るとアメリカとイスラエルはほとんど終わっているような印象を受けていましたが、意外にも全員とまではいっていませんね。日本では職域摂取も続々と始まり、盛り返していきそうです。ただ、ワクチンの摂取についてはその人の思想も関連するため、センシティブなものでありますから、強要は避けていただきたいところですね。私の勤め先でも各人の判断に委ねられます。

 報告では世界人口の70%が2回のワクチン摂取をすることで集団免疫を獲得できるとしているようです。問題はいつまでにそれが達成できるかですね。

図1 ワクチン摂取状況 Our World in Data https://ourworldindata.org

サプライチェーン

 自動車のサプライチェーンについて書かれていました。それを考えるときに真っ先に浮かぶのが、トヨタ自動車で有名なJust in time (JIT)と呼ばれるものです。この思想は、工場で在庫を持たずに必要なときに必要な分だけ部品を持ってくるというものです。しかし、コロナ禍では旅客の減少から航空便は飛ばなくなり、その穴埋めに海上輸送への需要が殺到しました。追い討ちをかけるように港湾作業者へコロナ感染拡大、コンテナが滞留し物流混乱が発生しています。このような状況にJITを採用しているところは非常に脆弱です。実際に自動車メーカーは工場操業停止に追い込まれました。

仮想通貨

 数日前に某インフルエンサーの勧めていたTITANという仮想通貨が数日後に暴落するというコントのような事象がありましたね。はりきちとしては投資対象としての仮想通貨には懐疑的な立場をとり、カネ一銭も出していません。理由は、価値の裏付けがよくわからないからです。ドルや円といった国定通貨は、国家の徴税能力という強大な裏付けがありますから、その信頼は納得できるのです。仮想通貨はそういった意味で何が裏付けになっているかわからないので、そそりません。マイニングやブロックチェーンそのものには技術的な興味がありますが、価値の保存という観点からはチューリップと似たものと思います。

 有名なブラックスワンの著者であるタレブ氏も仮想通貨は”Idiot”と言っています。仮想通貨の”intrinsic value (本質的価値)”はどう定義しますか?

https://twitter.com/nntaleb/status/1404228423539736576

Bitcoinには4つの欠点と3つの利点があります。

欠点

  1. 高い変動率
  2. 一秒間に7取引までしか扱えない(VISAは2万取引)
  3. 一部の保有者にシェアが集中している
  4. 現状の規制に合わない

利点

  1. 二十四時間、7日間にいつでもアクセス可能な世界初の国際決済
  2. ブロックチェーンによる分散型台帳技術を初めて本格的に活用した
  3. 高度な非対称暗号化

各種資産クラスの動向

 さて、5月分のデータを見ていきます。

図2 各資産クラスのバブル成分表 The FCO Cockpit Global Bubble Status Report June 2021より引用
  1. 個別株 16 -> 16 変わらず
    1. 欧州 14 -> 13 下降
    2. 米国 19 -> 20 上昇
  2. インデックス 28 -> 26 下降
    1. 欧州 21 -> 18 下降
    2. 米国 35 -> 31 下降
    3. グローバル 26 -> 25  下降

まだまだバブル気味と言えますが、流石に先月までの勢いはないようです。

セクター別の動向

  バブル気味なのはTransportation, Commercial & Professional Services, Food Beverage & Tobacco, Insurance, Real Estate, Diversified Financialsです。コロナ収束後の社会情勢や金利の上昇を意識したセクターが多いように感じます。はりきち保有銘柄では、Prudential やBank of Nova Scotia、Canadian imperial bank of commerce が該当し、いずれも急上昇しています。

図3 各セクターのバブル動向 The FCO Cockpit Global Bubble Status Report June 2021より引用

個別株の動向

 今月も右側に分類される株が多く、全体としてバブル傾向が強いことが読み取れます。なかなか買い付けに躊躇してしまいますね。はりきち好みの財務が強いが下落している株は少ないようです。はりきち保有銘柄としてはInternational PaperやKraft Heinz、Exelon(かつて保有、売却済み)が順張り投資家の好む株に分類されています。

図4 個別銘柄のバブル動向、縦軸から右側がバブルスコアが高くバブルの可能性のある銘柄群。The FCO Cockpit Global Bubble Status Report June 2021より引用
図5 個別銘柄のバブル動向、順張りのロング投資家の好む株。The FCO Cockpit Global Bubble Status Report June 2021より引用

まとめ

 この記事の執筆の数日前のS&P500はFRBのテーパリング前倒しの示唆により、下落に転じました。このまま下がっていくようであれば安く買えて助かりますね。6月も残り3分の1、粛々と投資に励みます。