国内や外国の株式に投資するとき、できれば安値で買い、高値で売りたいですよね。harikichiがどの株がバブルの傾向にあるかを知りたい時に参考にしている報告書があります。
チューリッヒ工科大学のFinancial Crisis Observatory (FCO)とSystematic Investment Management AG (SIMAG, クレディスイスも参画するジョイントベンチャー)のGlobal Bubble Status Reportについて解説します。
- Global Bubble Status Report とは
- Global Bubble Status Report の個別株の分析
1.Global Bubble Status Reportとは
FCOが定期的(大体1ヶ月おき)に月初に作成している報告書です。この報告書が面白いのは、各種のindexや850の個別株を分析の対象しバブルの傾向にあるかを調べているところです。
ここでは、実際のレポートの中の個別株に関する項目を見てみます。まず、バリュースコア×バブルスコアを使い、個別株を分類しているグラフです。これは株式を次の4種の傾向に分けています。
Trend-Following Long Stock Portfolio (TFLSP):右上1。ポジティブバブルの傾向がある強いファンダメンタルの株。順張りかつロング投資家が好む。
Trend-Following Short Stock Portfolio (TFSSP):左下3。ネガティブバブルの傾向がある弱いファンダメンタルの株。順張りかつショート投資家が好む。
Contrarian Long Stock Portfolio (CLSP) :左上4。ネガティブバブルの傾向がある強いファンダメンタルの株。逆張りかつロング投資家が好む。
Contrarian Short Stock Portfolio (CSSP):右下2。ポジティブバブルの傾向がある弱いファンダメンタルの株。逆張りかつショート投資家が好む。
例えば、図の中の3の位置にRolls-Royece(ロールスロイス)の株式が示されていますね。この株は、上記の分類ではTFSSP:ネガティブバブルの傾向がある弱いファンダメンタルになります。順張りかつショート投資家向けの株というわけです。
先ほどの図の他に、分析対象の株式の一覧表もあります。業務ソフトのSAPやAmazon、そしてCOVID-19のワクチン開発のAstraZenecaもありますね。特にSAPは5月20日からバブルがスタート、バブルスコア100%になっており、注目に値します。
2.Global Bubble Status Reportの個別株の分析
このレポートには、個別株の詳しい分析も載せられています。例えば先に挙げたRolls-Royeceの分析が今回8月のレポートに掲載されています(図3)。グラフの各線は次を説明しています。
- The Stock:Rolls-Royeceの累積利益率。
- STOXX600:ストックス欧州600指数(https://www.stoxx.com/index-details?symbol=SXXP。)
- Bubble Score:バブルスコア。値が1に近いほどバブル(またはアンチバブル)を表す。
このグラフから、2020年に入ってから2月ー3月にかけてバブルまたはアンチバブルの傾向があったことがわかります。わかりにくいですが、右下にも少しバブルスコアの赤線が見えますね。8月はアンチバブルの傾向があるようです。
3.まとめ
ここまでFCOの発行する報告書の解説をしてきました。
- Global Bubble Status Report とは
- Global Bubble Status Report の個別株の分析
実は、この報告書はThe LPPLS Modelという数理モデルが下地になっています。またの機会に解説記事を書きたいです(実は下記の書籍Why markets crashで説明されています。英語が読める方はぜひ参照ください。残念ながら邦訳版は絶版で高騰しています。)。
harikichiは定期的にこのレポートを見て、自分の投資計画の参考にしていきます。