今月のFinancial Crisis Observatoryのレポートは、ロビンフッターによるゲームストップ株騒動に言及されていました。バブルの発生を物理的視点で捉えている経済物理にとっては、非常に興味深い研究対象でしょうね。概要をまとめます。
投資家の群れ
FCO outlookにはこんなことが書かれていました。
最近の踏み上げ(Short Squeeze)は典型的な自己強化型(self-reinforcing)の模倣行動(imitative behavior)または群集行動(herding behavior)である。
FCO_21_Feb_JC
The FCO Cockpit
Global Bubble Status Report February 2021
さらに十分な知識を持たないアマチュア投資家が近年、市場に大量に流入し、Key opinion leaders、いわゆる投資インフルエンサーの戦略を模倣するようにな利、この傾向は以下の複数の条件により加速されることとなったとしています。
- COVID-19で気軽に外出できなくなり、退屈している
- 多くの支持者がいるインフルエンサーが複数存在(ex. Elon Mask)
- 流行の情報がスマホで簡単に入手できる
- 驚愕の流動性がFRBにより注入されている
- いくつかの買い側インフルエンサーは専門家(CFA、巨大テック、プロ投資家など)
- “Lottery-like pay-off (宝くじのような見返り)” が”You only live once, YOLO”の既存のスローガンと結びつき、アニマルスピリットに火をつけた
上記の条件は物理で言うところの「Coulpling strength (結合強度)」を高め、自己強化型の群集行動を強化しました。これによりゾンビ企業をショートしていたいくつかの著名ヘッジファンドマネージャーは、アイザック・ニュートンの言うところの「人々の狂気」により退場させられました。小さな魚が大きな魚を食らう、ジャイアントキリングを成立させたのです。
もはや有象無象のアマチュア投資家を、ただの群集と決めつけて無視することはできないでしょう。特にソーシャルメディアやネット掲示板は市場に対して影響力を持つようになりました。
各種資産クラスの動向
さて、いつものようにバブルの動向をみていきます。
はりきちが興味のある株式とインデックスについては、先月から次のように変わっています。
- 個別株 10 → 11 上昇
- 欧州 9 → 9 変わらず
- 米国 12 → 15 上昇
- インデックス 16 → 22 上昇
- 欧州 12 → 18 上昇
- 米国 13 → 20 上昇
- グローバル 20 → 24 上昇
なんと、ほぼすべてが上昇傾向。バブルの状況になってきたと考えられます。警戒を怠らず、資金をつぎ込みすぎないないように、計画的に粛々と資金投下します。
セクター別動向
セクター別には、Technology Hardware & EquipmentとAutomobiles & Componentsの2つがバブル傾向に入ったとあります。後者に関しては、TESLAが筆頭ですね。レポートにも挙げられています。
個別株の動向
今回のレポートではりきちが気になった銘柄は、ロッキード・マーチン:Lockheed Martin Cropとベライゾンコミュニケーションズ:Verizon Communications Inc.です。隙を見て拾うことを検討します。前者は軍事関連企業であり、連続増配を続けている強固な企業であります。EPSも申し分なく成長を続けています。後者は公共株でかつ高配当銘柄の一つで、最近ではEPS, PERがマイナスとなり株価的にも振るわないAT&Tよりも人気がありますね。若干ではありますがマイナス方向に振れるようです。
まとめ
今月も先月に引き続き、バブル傾向が続くようです。手元の資産が増えるのは結構なことでありますが、警戒を解かず、衝動的に予定外の取引をしないように自分を律します。