NASDAQはバブルなのか?

 9月7日にはりきちがいつもチェックしているFinancial Crisis Observatory (FCO)が9月のGlobal Bubble Status Reportを公開しました。 FCOについてはこちらの記事をどうぞ。この記事では今月のレポートの概要を書きます。

  • 各種Indexの動向
  • 個別株の動向

1.各種Indexの動向

 今月、FCOはレポート公開しましたが、公開のタイミングがいつもより遅かったです。理由は公開されたレポートで察しました。いくつかの重要な指標についての予測で、バブルの臨界点が公開タイミングとちょうど同時期になっていたことです。

 1つはNASDAQコンポジット、もう1つはS&P500のテクノロジー関連指標です。まず、NASDAQの分析結果を見てみます。

図1 各種インデックスの動向。重要なのはCritical Time Prediction とσ、Scenario Probability。それぞれ、バブルの臨界点(日付)、臨界点の偏差、シナリオ実現確率を表す。臨界点とは、簡単に言えばバブルの転換する時期を表す。

 9月7日に公開されたレポートではNASDAQコンポジットは9月3日にバブルの臨界点を迎えるとあります。ここで思い出したいのは、実際の9月3日前後で何が起こったかです。図3のように、指標は急落しました。

図2 9月初めのNASDAQコンポジット。9月3日から4日にかけておよそ1000ポイント(8%)の下落。

 レポートにはテクノロジー関連株の指標であるS&P500 Tech Hard, Strage & PeriphとS&P500 Technology Hware & Equipも分析対象とされていました。これらも確率はそこまで高くないものの、NASDAQと近い日付で臨界点を迎えます。

図3 各種インデックスの動向。テクノロジー関連の指標の臨界点が9月初旬に集中、 建設関連も中旬に位置する。
図4 S&P500 Tech Hard, Storage & Periphの累積収益率の時系列。3月中旬よりバブルスタート。

GICS Industry Group Nameのセクター分類の中で、Retailing, Technology Hardware & Equipmentの3つがバブルであることがわかります。Semiconductorもバブル傾向にあるようです。

図5 セクター別のバブルの傾向。
図6 4つのセクターの累積収益率の時系列とバブルスコア。

 FCOはコンスタントに月の初めにレポートを公開することが多いのですが、今回は少し遅れて公開しました。おそらく、予測による市場への影響を考慮して、あえて公開を遅らせたと考えています。

 株価の予測が難しいのは、予測そのものが市場へ影響を与えてしまうため、結果を歪めてしまう恐れがあることです。この点、Sornett氏も著書で指摘しているのですが、またの機会に書きたいと思います。

2.個別株の動向

 さて、ここでは個別株へとブレイクダウンしていきます。最近の注目であるテクノロジー関連株にフォーカスします。図7はバブル傾向のある株のリストです。

  • Amazon
  • Microsoft
  • NVIDIA
  • Tesla

といった注目銘柄がリストアップされていますね。これほどの数が並ぶのは珍しいです。

図7 Contrarian Short Stock Portfolio (CSSP):ポジティブバブルの傾向がある弱いファンダメンタルの株。逆張りかつショート投資家が好む。
図8 Contrarian Short Stock Portfolio (CSSP):ポジティブバブルの傾向がある弱いファンダメンタルの株(続き)。逆張りかつショート投資家が好む。

3.まとめ

 FCOのレポートで、いくつかの株がバブルに突入していることが示唆されました。はりきちとしては、なるべく高値で掴みたくないので、これらの銘柄は現時点では避けたいところです。2020Q4の投資計画の参考とします🦔💨

 レポートの作成に関わっているSornette氏の著書に、予測モデルの詳しい説明があります。