世界のバブル動向(10月)

先日、Financial Crisis Observatoryが作成している、10月度のGlobal Bubble Status Report が公開されました。FCOについてはこちらの記事をどうぞ。この記事ではその概要を書きます。

  • 各種Indexの動向
  • 個別株の動向

1.各種Indexの動向

 4つの指標でバブルが発生しているようです。それぞれ10月あるいは12月ごろ臨界点が来ます(あるいはもう来ています)。個人的には地理的に近い韓国の動向が気になるところですね。

  • CSE all share index:スリランカ
  • Korea SE Kospi:韓国
  • Qatar Exchange General index:カタール
  • OMX Riga GI:ラトビア
図1 各種インデックスの動向。重要なのはCritical Time Prediction とσ、Scenario Probability。それぞれ、バブルの臨界点(日付)、臨界点の偏差、シナリオ実現確率を表す。臨界点とは、簡単に言えばバブルの転換する時期を表す。
図2 Korea SE Kospiの累積収益率の時系列。3月中旬よりバブルスタート。バブルの継続期間はおよそ190日。

また、米国のS&P500の各種セクターもバブルに入っていたようです。これらも10月に臨界点を迎えます。コロナ後でも上昇基調を維持していますね。

 GICSのセクター別分類を見てみます。Retailing, Semiconductor, Technology そしてSoftwareなどは先月に引き続き高いリターンを保っていますね。反対にEnergy, Bankは引き続き低調です。

図3 S&P500の各種インデックス。190〜200日の間でバブル継続。
図4 GICS Industry Group Nameのセクター分類による年率リターンとバブル。

2.個別株の動向

 9月の個別株では、Contrarian Short Stock Portfolio (CSSP) つまり逆張りかつショートの投資家が好む銘柄を見てみます。これらは、相対的に弱いファンダメンタルでありながら、高いリターンを続ける銘柄になります。以下の銘柄が挙げられています。

 EC、ディスカウントストア、半導体系が強いのは世界的に共通しています。

  • Dollar General Corp:米国のディスカウントストア運営会社。
  • JD.com:京東商城、アリババに次ぐ中国のECサイト。
  • Nike Inc:言わずと知れたブランド、ナイキ。Consumser Durables & Apparel
  • NVIDIA:画像処理に特化したGPUの世界的メーカー。Semiconductor & Semiconductor Equipment
  • Tesla Inc:米国の電気自動車メーカー。

特にテスラの年次リターン707.7%は驚異的ですね。また、Nikeの株価もかなり伸びています。

図5 Contrarian Short Stock Portfolio (CSSP):ポジティブバブルの傾向がある弱いファンダメンタルの株。逆張りかつショート投資家が好む。
図6 Nike Inc.の年次累積利益率。S&P500の倍以上のリターンと驚異的。

 次に、Contrarian Long Stock Portfolio (CLSP):逆張りかつロングの投資家が好む株式(ファンダメンタル的に強いがネガティブバブルの銘柄)です。BPとShellが挙げられていますが、個人的にBPがファンダメンタルが強いとされている理由がわからないので、もう少し慎重に分析してみようと思いました。

図7 Contrarian Long Stock Portfolio (CLSP):ポジティブバブルの傾向がある強いファンダメンタルの株。逆張りかつロング投資家が好む。

3.まとめ

 引き続きバブルのセクターがいくつかありました。これらのバブルに乗るもよし、避けて通るもよしです。はりきちはShellまたはBPの買い増しは続けていく予定ですが、投入資金に対する比率をどうするか吟味します。