こんにちわ。はりきちです。10月に入ってから金利が急上昇して、TOPIXやS&P500は一時的に急落しました。しかし、感覚的にはTOPIXの方がS&P500よりも強い(資金流入している)ように思えます。そこでレラティブストレングス(相対力)を日米間で比較することで、現在の局面を読み取り、近い将来のシナリオを考えています。
対象資産
日米での分析対象は、株式・債券・コモディティ(または金)・不動産・為替の5つです。具体的には過去記事(日本と米国)で使用した下記の銘柄の時系列です。
- 日本市場
- 日本株 : 1306.T, NEXT FUNDS TOPIX ETF
- 日本債券 : 2510.T, NEXT FUNDS 国内債券ETF
- コモディティ(金で代用): 1328.T, NEXT FUNDS 金価格ETF
- 不動産 : 1343.T, NEXT FUNDS J-REITETF
- ドル円
- 米国市場
- 米国株:VOO
- 米国債券:VGLT, Vanguard米国政府長期債券ETF
- コモディティ:DBC, InvescoコモディティIndexトラッキングファンド
- 不動産:USRT, iShares コア米国 REIT ETF
- ドルインデックス
10月13日時点でのレラティブストレングス
日本市場の結果から見てみます。4月からの現在までの時系列を見てみます。
- 日本株・・・緩やかに右肩上がり
- 債券・・・緩やかに右肩下がり
- コモディティ(金)・・・10月まで緩やかに右肩上がり、10月に入り大きく急落、その後回復
- 不動産・・・概ね日本株と同じような動きであるが、日本株より勢いがない
10月13日現在の相対力としては下記の順に見えます。
日本株>コモディティ(金)>不動産>債券>日本円
ジョン・J・マーフィーの教科書的には、天井・底をつける順は債券、株式、コモディティで通常の状態(デフレでないとき)であれば債券と株式は連動する傾向です。今の日本経済の状態はややインフレであり、さらに低金利でありますから、金利上昇を避けて債券や不動産には資金が抜け、円安傾向なので円でなく株式やコモディティ(金)に資金流入していると言えます。教科書的に言えば次に天井をつけるのは日本株になります。ただし、日本は低金利の状態が継続しているので、すぐに天井を付けたとは判断できず、予想外に長いサイクルになっているのではないかと考えています。
次に、米国市場を見てみます。
- 米国株・・・8月まで緩やかに右肩上がり、8月以降は緩やかに右肩下がり
- 債券・・・緩やかに右肩下がり
- コモディティ・・・7月まで下がり、7月以降は上昇
- 不動産・・・概ね米国株と同じような形であるが、傾きはマイナス
10月13日時点での相対力は下記と言えます。
米ドル>コモディティ=米国株>不動産>債券
日本と違い、米ドルインデックスが7月中から右肩上がりで、ドルが強いように見えます。また、債券はとうの昔に、株式・不動産は8月に天井をつけています。残りはコモディティが上昇していますので、これが天井を付ければサイクルの終わりになると予測できます。その時には通貨がドル安に転換すると思います。
シナリオ検討
サイクルの最後にはコモディティが天井をつけますが、これはインフレが終息に向かうということに他なりません。ただ、それには意外と長い時間がかかると考えています。米国FRBはすでに利上げを繰り返しているのですが、現在のインフレ状況は戦争:ロシア対ウクライナ(+米国)、イスラエル(+米国)対パレスチナ(中東諸国)によって引き起こされているものです。供給サイドの問題なので、いくらFRBが金利を上げていても収まりません。簡単にインフレが収まらないので勘違いしたFRBは金利を下げるわけにはいかないです。したがって戦争が終わった瞬間に一気にインフレ突然終わり、さらに高金利の状態が悪さをしますので、米国経済はガタガタになります。利下げが行われ、最後にドル安となって終わる、このようなシナリオが考えられます。
日本と米国での株・債券・コモディティのサイクルから考えて、経済が悪化するのは米国が先になります。日本はその次と考えます。米国経済が倒れた時、日本経済も同様に影響されますから、この時に金利をあげるわけにはいかないと思います。日銀は利上げできないのではないでしょうか。そう考えると、ドル安にはなりますが、反対方向に同じようなレベルでは円高にはならないのではないでしょうか。以上を踏まえると、日本円が最も資産として弱い状態であるのは理解できますね。日本円を持っておくのは心理的に厳しいですね。